ライティングセミナー

昨日、ELEC同友会ライティング研究部会公開研究会に参加してきました。3月11日ということで個人的には複雑な思いを持って参加したのですが、この研究会で得たことをしっかり生徒に還元することが私にできることだろうと考えました。


当日の様子を振り返りながら自分の頭を整理してみたいと思います。


まず、山口県の松井先生からこれまでの研究成果が発表されました。たまたまELEC自体を知ったのが数年前ですので、その長い歴史と様々な取り組みを知って驚きました。情報は自ら探そうとしないと見えないものなのでしょうね。これから高校で「ライティング」という科目がなくなります。だからこそ教員ひとりひとりが問題意識を持ち、自発的に発信や提案をしていくことがこれまで以上に求められると思います。研究部会の皆様には、その足がかりとなる発信をしていただけることを期待しています。


次に、長沼先生と木幡先生によるライティングタスクの提案がありました。私はこれまでライティングのタスクとは書かせるための準備や自分が書いたものを書き直す作業など、生徒自身が書いたものを中心に考えていました。ですが、ライティングモデルを使って、客観的に書かれたものと向き合うタスクが提案されました。モデルが豊富にあることが大前提ですので、このアイディアをすぐ実践に移すことは難しいかもしれませんが、その方法を考えてみたいと思いました。また、これまで何度も思っていた「英文に直しやすい日本語を作る」指導方法について、J1→J2の変換パターン例が示されました。こういうのがあるといいんだけどなぁと思っていたのでありがたかったです。


最後に、シンポジウムとして「今後求められるライティング指導」について田地野先生、松井先生、そして奥住先生からお話がありました。田地野先生の意味順についてのお話を直接伺ってその簡潔さに驚きました。高校の早い時期にこの考えかたを紹介することで、中学で習った表現の整理もできるし、またそれ以降の複雑な英文も処理できるようになるかもしれません。生徒は明示的に意味順を提示されなくても、いわゆる勘のよい子は配列の規則性を体得していきます。でも毎年数名、日本語の配列規則から抜け出せずにもがいている生徒がいます。どこかで明示的に意味順を提示することで、彼らのもやもやが少なくなってくれればいいなぁと思いました。



松井先生からは、英語のフレーズ感覚を養わせることの大切さをうかがいました。12月まで教科書に入らずに基礎力をつける、というお話でそこまで思い切ったことができるんだ、と思いました。今年は3年生の進学クラスを私1人が担当したこともあり、いろいろと変則的なことができたけど、1年生の段階では複数名が関わっていることもあり難しそう。でも基礎力が弱い状態でいくら新しいことをやっても足元がぐらついて安定しない。思い切った発想の転換をしてみようか
な。


奥住先生はブログの雰囲気そのままの先生でした。中学でのライティング指導の一端を見せていただいたのですが、現場ではおそらく同じような熱意でライティングを指導されている先生だけではないのだろうなぁと思いました。ライティング指導はそんなに大変なことじゃないですよ!みんなやってみましょうよ!というメッセージにあふれた内容でした。会場にいた先生たちに対してというより、その同僚のみなさんに広めてほしい内容だったと思います。「ライティング指導!と構えずにシンプルなことから始めてみましょう。」そうですね、まずはやってみることから始めたいと思います。


懇親会にもお邪魔し、中学校の先生がたといろいろお話をさせていただきました。中学では新課程がスライドで移行されないので節目にあたっている生徒たちをどう指導するか、なんて話は初めて聞いたので、中学校で扱われている領域をもっと知っておかないと、4,5月の中高橋渡し月間の取り組みが違ってくる。入ってくる生徒たちが持っているものが多かれ少なかれ、それを活かして高校英語につなげていきたい。定着してないとかなんとか言ってても意味がないし。熱心な中学の先生たちとお話して、これから入ってくる生徒たちを大切にしなくちゃ、という思いをさらに強くしました。


ライティング指導は、正直高校現場ではかなり影が薄いです。もしかしたら一度も本当のライティングを指導したことがない人もいるかもしれません。来年度は、できれば1年生で会話の内容を使ったライティングをさせようと思っています。「口に出して練習したものを使って書いてみる」 そんなシンプルなところから始めてみるように提案してみるつもりです。目指すところをあまり大きくせずに、スモールステップで少しずつやってみたいと思います。