和訳問題について

 基本的には試験では和訳問題は自分は出さないことにしているが、他の先生が作問する場合はそうは行かない。もちろん、和訳をさせることによって英文の構造を把握できているか見ることができるので、一概に和訳問題は×とは考えていない。

 
 昔は和訳問題を出すことに強力に反対していた。というのも、試験日の朝に廊下で試験範囲の日本語訳を友達と一生懸命に暗唱している生徒を目撃したからである。なぜその労力を英文の暗唱に割いてくれないのか、と愕然とした。その時から、和訳は出さないことにしている。

 
 しかし、最近になって和訳問題だからこそはかることができるものがあるように感じるようになった。それは複雑な英文の構造を理解して読んでいるか、ではないだろうか。関係詞や分詞を使った後置修飾の表現などを生徒に和訳させてみると、かなりあやしい和訳が登場する。実際、生徒たちの頭の中で行われている作業は、その英文中の単語をすべて日本語に直して、その日本語の文法や構造理解を考えない場当たり的な並べ替えである。さすがに日本語ネイティブなので、つじつまが合わない場合はうまーく語を自分なりに補ってそれらしくしてしまう。

 ある英文に対し彼らが正しく文意を理解しているのかどうかをみる方法として、やはり和訳をさせることに一定の有用性がある考えている。しかし、ここで問題になるのはどこまでを「正しい訳・答え」とするかではないだろうか。毎回採点中に担当者で「この訳はどうか」とか「この語が入っていなければだめだとか」協議が延々と続く。なんだか不毛に感じてしまうことがある。


 和訳問題とは、「後先考えずに出すと痛い目に合う」問題だと思う。和訳問題の効用も無視できないと感じている今、何かいい方法はないだろうか・・・・。